フリーレントとは、不動産の賃貸借において入居後一定の期間における賃料の支払いが免除される契約をいいます。賃料の経理処理において会計と税務に差異が生じることがありますが、基本通達の改正により要件を満たせば差異は解消されることとなりました。
経理処理の方法
フリーレント期間がある場合の賃料の経理処理方法につきまして、借り手側と貸し手側についてそれぞれ解説いたします。法人税別表における申告調整にも触れてまいります。
|借り手側の経理処理
法人がフリーレントを利用する場合、従前は実際に支払いをした月額賃料のみが損金に算入される為、会計上、賃貸借契約期間(支払のない期間も含む)にわたって賃料総額を期間按分する経理処理を行っているときは、別表四において申告調整が必要でした。
しかし、基本通達の改正により法人税においても契約期間全体での均等按分が認められることとなった為、会計と税務が一致し、申告調整は不要となりました。なお、均等按分を行わず支払月のみ損金経理を行っているときは、法人税の取扱いは従前通りである為、申告調整を行う必要はありません。
但し、注意点としまして次のいずれかの条件に該当する場合は、課税上の弊害があるものとして契約期間の按分計算を行うことは認められません。
① フリーレント期間がない場合とある場合の賃料の差額が、フリーレント期間がある場合における賃料のおおむね2割を超えるとき。
② いずれかの事業年度において、フリーレント期間がその事業年度に含まれる賃借期間のおおむね5割を超えるときなど。
①は賃料総額で比較します。賃料の減額が大きすぎるケースを指します。
②はフリーレント期間が4ヶ月を超える場合に限ります。無償期間が長すぎるケースを指します。
上記に該当する場合は、リース会計基準による経理処理を行ったとしても、法人税法上は均等按分計算が認められない為、申告調整を行うことなります。
|貸し手側の経理処理
貸主が大企業などで、リース会計基準を適用している場合は、契約期間全体の賃料総額をフリーレント期間も含めて均等按分し、売上(受取リース料)計上するのが原則的な会計処理です。
法人税の取扱いですが、無償期間においても役務の提供は行われているものとして、毎期定額の収益を認識することとなりますので、申告調整は不要です。但し、支払日基準による計上も認められている為、支払日基準によった場合は会計と税務に差異が生じます。
一方、貸主が中小企業などでリース会計基準を採用していない場合は、実際に賃料を受け取った際に収益を計上します。
実務上、フリーレント期間中は経理処理は行わず、賃料の受け取りが開始した月から実額賃料を売上計上し、法人税も上述のとおり支払日基準により益金算入しますので、差異は発生せず申告調整は不要です。
設例による解説
続きまして、設例を用いてフリーレント期間と賃料支払期間における仕訳を紹介いたします。なお、割引率による利息の計算につきましては割愛しております。
|ケーススタディ
3月決算法人であるA社は、×1年4月よりテナント物件に入居し、フリーレント期間2ヶ月を含む賃借契約期間は2年で、賃料は総額で396万円、月額で18万円(消費税別)とします。なお、消費税の経理処理は税抜方式によってるものとします。
この場合の仕訳は下記のようになります。
・フリーレント期間(4月~5月)
(借方) 支払賃借料 16.5万円 (貸方) 未払費用 16.5万円
・支払期間(6月~3月)
(借方) 支払賃借料 16.5万円 (貸方) 現金預金 19.8万円
未払費用 1.5万円
仮払消費税 1.8万円
(注1)フリーレント期間中の賃料は、396万円 ÷ 24ヶ月 = 16.5万円 です。
(注2)未払費用(2ヶ月分33万円)は22ヶ月にわたって取り崩されます。
|消費税の取扱い
消費税についてですが、賃貸借取引に係る賃借料の計上時期は、契約又は慣習により支払を受けるべき日とされております。借り手側は、フリーレント期間は支払義務がありませんので、同期間におきましては原則課税仕入は計上しないものと考えられます。
また、仕入控除を適用するにはインボイスの保管が必要であることから、貸し手側が賃料の支払が発生するタイミングでインボイスを交付するのであれば、仮払消費税を計上するのはフリーレント期間終了後になるものと思われます。
まとめ(Conclusion)
基本通達の改正により、フリーレント期間を含む賃貸料の経理処理につきましては、一定の場合を除き会計と税務が一致することとなりました。フリーレントに限らず、会計と税務の処理を一致させることは管理コストの低減につながります。
フリーレント契約におきましては、中途解約時の違約金の有無や共益費の扱い等を確認することが大切です。税務面では、課税上の弊害となる要件に該当しないか、インボイスの発行はいつなのか等について注意する必要があります。
In the handling rent free transactions or other business transactions, aligning accounting and tax treatment method will reduce companies’ management costs.
When entering into a lease agreement with rent free periods, it is crucial to confirm whether the terms and conditions meet the requirements we introduced and when the lessor issue their consumption tax invoices to lessee from the view of tax.






