クラウド会計を導入することにより生じる経理業務への影響

クラウド会計はそのメリットから年々普及が進んておりますが、様々な経理業務シーンにおいてクラウド会計を利用した場合の効果など、その実用性について述べたいと思います。

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基本的な経理業務について

請求・回収・支払・精算等は、どの事業においても生じる経理業務ですが、各々のシーンにおけるクラウド会計(freee・MFクラウド)の効用等を記載します。

|請求業務

請求書の発行の他、有料ですが請求書の郵送作業を代行してくれます。印刷から封入、送付までしてくれるのは、送付数が多い会社であれば大変助かるサービスかと思います。

また見積書から納品書、請求書、領収書へといった変換を行うことができます。エクセルで各々作業している職場の状況から考えますと、導入すればかなりの時短になるのではないでしょうか。

毎月の請求書は設定により自動作成することができ、会計とも連動しているため仕訳は自動作成されます。

|売掛金消込業務

クラウド会計の場合、インターネットバンキングであれば請求書と銀行明細が連動して入金消込を行うことができます。しかし、MFクラウドではエンタープライズプランのみの利用であり、freeeはジャパンネット銀行の口座が必須となっているのがネックです。

また規模の大きい得意先になりますと、部署ごとに請求先が異なる関係もあり入金違算の要因が複雑なケースがあります。そのような場合はやはり問い合わせにより解消するしかないようです。

|支払業務

総合振込がCSV形式によるデータ作成・振込依頼のみならず、API連携により行うことができます。しかし現在連携できる金融機関は限られており、またインターネットバンキング口座が必要となります。

|買掛金・未払金消込作業

MFクラウドの債務管理機能を使いますと、支払先毎に、仕入か経費かの選択、振込か口座振替かの設定、振込用口座情報の登録を行うことにより、債務の一元管理、振込データの作成及び仕訳登録を行うことができます。

|経費精算

クラウド会計の場合、クレジットカードの使用であれば、利用データが自動取得され、精算手続きの必要はなく、仕訳も自動で作成されます。しかし、初期の勘定科目や特に摘要欄は手直しが必要となります。

従業員の立て替えであれば、領収書をスマホで撮影して数項目を入力するだけで、承認にまわすことができます。精算につきましては給与振込とすることで、小口現金を使用・管理する手間が省けます。

但し、高額の立て替えが発生する場合には、一時的とはいえ従業員に負担させることになりますので、業務フローを導入する前に社内の同意を得ることが課題です。

|仕訳業務

インターネットバンキングやクレジットカード取引はクラウド会計ソフトに自動取込されますが、それ以外の取引は自動取込はできません。

しかし別サービスの利用により簡略化することはできます。STREAMED(マネーフォワードの子会社が提供する仕訳サービス)であれば、スキャンした証憑書類を提出後、依頼日の翌営業日に記帳データが納品されます。

※ホームページはこちら。初めての利用の場合、100件の無料仕訳サービスがあります。

その他の経理業務について

ここでは上記以外の経理業務におけるクラウド会計の機能・対応状況を述べたいと思います。

|資金繰り

「予定」として将来の売掛金の回収仕訳や買掛金の支払仕訳を入力しておきますと、キャシュフローレポートに反映され、入金予定表・支払予定表の代替機能を果たし、資金繰りの役に立ちます。

|在庫管理

外部連携をすることで対応可能ですが、会計ソフトには機能はありません。別途サービスコストが発生します。

|外貨管理

一部の金融機関のみ外貨建ての取引明細を円換算した後、取り込むことができます。残念ながら複数の外貨を管理をしたり、レートを設定することなどはできません。

|給与振込

給与計算についてはfreee、MFクラウドともに会計とは別にソフト(人事労務freee、MFクラウド給与)を利用する必要があります。毎月の給与に係る所得税・社会保険料計算の他、年末調整も行うことができます。freeeでは源泉徴収票に加え、支払調書も作成可能です。

経理業務ではありませんが従業員の入退社手続きや、Web打刻機能により勤怠管理を行うことができます。

|管理会計

部門設定を行い、間接費の配賦を行うことで、部門別損益管理が可能です。また建設業やソフト開発業においてはプロジェクト別に損益管理を行うこともできます。

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決算業務等について

最も重要となる決算書(会計帳簿を含む)及び申告書の作成機能について記載します。なお固定資産管理もできるため、固定資産台帳入力をすることで、減価償却費は自動で決算仕訳として計上されます。

|決算書(会計帳簿を含む)

仕訳帳、総勘定元帳、残高試算表の他、貸借対照表及び損益計算書が自動作成されます。さらにレポート機能が付いてきます。freee、MFクラウドともに視覚的にもわかりやすいグラフ表示となっております。

費用レポートにて費用内訳が円グラフで表示され、月次推移では積み上げ棒グラフで推移が示されます。収益レポートも売上内訳が得意先別の円グラフで、月次推移は費用の場合と同じく積み上げ棒グラフで見ることができます。

得意先レポートと仕入先レポートは各々取引先毎に売掛金又は買掛金の前月残高、当月増減、当月残高を見ることができます。

MFクラウドの財務指標(β版)では、経済産業省が公表するローカルベンチマークの6つの財務指標を表示することができます。

 

|申告書

個人事業主の確定申告書さらに青色決算書の作成は問題なくできます。作成したデータはe-taxで提出することもできます。但し申告書第三表(土地、建物又は株式を売買した場合の所得など)については、freeeは対応していますが、MFクラウドは未対応です。

会計freeeでは消費税の申告書も作成が可能です。また法人税の申告も申告freeeを使えば可能ですが、別途コストが発生します。法人税申告に関しては従来利用しているソフトをそのまま使っていらっしゃるケースの方が多いかと思われます。

まとめ(Conclusion)

経理業務について、個別のエクセル資料で管理を行っていたり、一人の担当者に任せており、ブラックボックス化している会社にとっては、単に作業時間の短縮というより、業務改善という意味でクラウド会計の導入は効果があるかと思います。また導入により空いた時間は他の作業に充てたり、新たに付加価値を生み出すための業務に向けることができます。

但し、スタンダードプランでは機能が制限されており、多くの機能を使おうとしますと思わぬ高額なコスト負担になったり、従業員が使いこなせなかったり等、結果的に良い方向にいかないこともあり得ます。

とは言え、税制改正等に係るアップデートを無料対応してくれたり、複数名がリアルタイムで現在の財務状況を把握することができるのは大変魅力です。

まずは何が問題なのか、どのようにして解消したいのか、を事前に整理した上でその為の手段として、クラウド会計ソフトの持つ機能を有効利用するというスタンスで必要なものから導入していくのが良いでしょう。

 

The cloud accounting system should help reduce your accounting work. But you had better decide to introduce it in a phased manner after reviewing problems of accounting procedure in your workplace.
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