住宅ローン控除の適用判定について【借換えや特別控除があった場合など】

だんだんと年末が近くなり、確定申告を意識する季節になってきましたところ、住宅エコポイント制度復活かとのニュースがありました。そこで確定申告期間中にとりわけ質問が多い住宅ローン控除について、関連する税制もふまえて取り上げてみたいと思います。

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住宅借入金等特別税額控除

住宅ローン控除は、正確には住宅借入金等特別税額控除といい、住宅の新築、購入、増改築を銀行等からの借入により行った場合に居住開始年から一定期間受けることができる所得税の税額控除です。

|適用要件

この規定には、適用を受けるための様々な要件が設けられております。主な要件を下記に掲載いたします。

・床面積が登記簿上において50㎡以上

・償還期間10年以上の借入金を有している

・取得から6ヶ月以内に居住する

・床面積の2分の1以上が自己の居住の用に供されている

・合計所得金額(繰越控除前の金額)3千万円以下

 

※単身赴任があった場合でも家族が居住していれば適用を受けられます。

 

平成28年以降は非居住者の方でも住宅ローン控除の適用が可能となっております。

 

|控除限度額

控除限度額は次のように計算します。控除は10年間受けることができます。

年末借入金残高(4千万円限度)×1%(平成30年に居住開始の場合は限度額40万円)

但し、個人から中古住宅を購入するときなどは注意が必要です。住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税の税率が8%ではないときは、借入金の限度額は2千万円となり、控除限度額も20万円となります。

|その他の住宅関連税額控除

 

① 認定住宅新築等特別税額控除

認定長期優良住宅又は認定低炭素住宅を新築等により取得し、床面積要件や居住要件等、一定の要件を満たしているときは、次の金額を居住年の所得税額から控除することができます。控除しきれないときは翌年に繰越が可能です。

標準的な費用の額(1㎡当り43,800円)×10%(65万円限度)

この規定は住宅ローンが無くても受けることができます。また住宅ローン(償還期間10年以上)があるときは、選択により住宅ローン控除を受けることも可能です(10年間で最大5百万円)。

 

② 住宅特定改修特別税額控除

既存住宅に省エネ改修工事、バリアフリー改修工事又は多世帯同居改修工事のいずれかの工事を行ったときは、標準的な費用の額※の10%相当額を所得税額から控除することができます。

※ 工事に係る標準的な費用の額は50万円を超える必要があります。

また、住宅ローンによりこれらの工事を行い、一定の要件を満たすときは、選択により、これらの工事に係る借入金の2%相当額とこれらの工事以外の工事に係る借入金の1%相当額の合計額を、5年間所得税額から控除することができます。

さらに工事費用が1百万円を超えるときは、住宅ローン控除との選択適用があります。

【留意事項】

省エネ改修工事・・・すべての窓の改修が必要

バリアフリー改修工事・・・50歳以上の人などに限られます

多世帯同居改修工事・・・キッチン、浴室、玄関、便所のうち1つ以上の増設及び増設後こられのうち2つ以上が複数となることが必要

 

③ 住宅耐震改修特別控除

昭和56年5月31日以前に建築された住居につき、一定の耐震改修工事を行ったときは、同工事の標準的な費用の額の10%相当額を所得税額から控除することができます(控除限度額25万円)。

また、この規定は住宅ローン控除との併用が可能であり、所得要件はありません。

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適用時における注意点

ここでは住宅ローン控除の適用を受ける際の留意事項を、ケーススタディから見ていきたいと思います。

ケース1

平成25年に3千万円の借入れにより家を新築し、また平成30年に5百万円の借入れにより増改築を行った場合の住宅ローン控除額(年末借入金残高はそれぞれ25百万円と5百万円)


控除限度額は、平成25年は20万円ですが、平成30年は40万円となっております。このような場合はまず各々の控除額を計算します。

25百万円×1%=25万円>20万円 ∴ 20万円

5百万円×1%=5万円<40万円 ∴ 5万円

そして合計したのち、大きい方の限度額(40万円)まで使えることとなります。

25万円+5万円=25万円<40万円 ∴ 25万円 控除額

 

ケース2

新築分譲マンションを借入れにより取得した場合で、その床面積について重要事項説明書には壁芯計算法による計算で50㎡を超えていたが、登記簿においては内法計算法による計算で50㎡未満となっている場合


床面積は登記簿上50㎡以上であることが要件となっている為、住宅ローン控除の適用はありません。

 

ケース3

住宅ローン控除を適用した後、低金利を考慮して借入金の借換えを行い、かつ新規借入金の償還期間が8年である場合の適用の可否


借換え後の借入金の償還期間が10年未満である為、控除の適用はありません。なお、10年以上であれば残りの年数も適用を受けることができます。

また、繰り上げ返済により返済金額を圧縮したときや、返済期間を圧縮したときでも、当初からの期間が10年以上あれば、いずれも適用が可能です。

 

ケース4

借入金により住宅を購入したものの、その年の合計所得金額が3千万円を超えていた為、住宅ローン控除の適用を受けなかったが、次の年は合計所得金額が3千万円以下となったときの適用の可否


初年度に要件を満たさない場合でも、翌年に所得要件を満たせば適用を受けることは可能です。なお、適用が受けられなくても初年度に税務署へ申告書等の書類を提出することはできます。

 

 

居住用財産の特別控除との関係

居住用財産とは次のものをいいます。

(1) 居住の用に供している家屋

(2) (1)の家屋で居住の用に供さなくなったもの

(3) (1)又は(2)の家屋及びその敷地の用に供されている土地等

(4) 災害により滅失した(1)の家屋の敷地

※ (2) , (4)は居住供用されなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末までに譲渡されたものに限ります。

上記に該当する家屋等を譲渡した場合には、居住年数に関係なく3千万円の特別控除を受けることができます(譲渡所得から控除)。

但しこの規定を適用したときは、住宅ローン控除の適用はありません

また、特別控除適用年の前2年間及び後2年間も住宅ローン控除を受けることができず、特別控除を適用した翌年になって住宅ローン控除の適用を受けるために前年の修正申告をすることもできません。

 

住宅を新規取得し住宅ローン控除の適用を受け、その翌年に旧住宅を売却した場合で、多額の売却益が出た為、特別控除を受けるために前年の住宅ローン控除を取り止めることは可能です。

 

 

確定申告について

会社員の住宅ローン控除の適用についてですが、二年目以降は年末調整により適用を受けられますが、初年度は確定申告を行う必要があります。

確定申告の際にはいくつかの書類の提出が必要となります。

※こちらの記事もご参照ください

 

給与所得のみの場合は確定申告書Aを使用し、それに加え計算明細書(一面・二面)を、すまい給付金の交付を受けた方や住宅取得等資金の贈与を受けた方は(付表1)を、連帯債務がある方は(付表2)を記入し、併せて提出することとなります。

なお、転勤から戻った後に適用を受けようとするときは、再び居住の用に供した方用の計算明細書がありますので、そちらを使用します。

 

まとめ(Conclusion)

住宅ローン控除の適用を受けるには、思いのほか必要書類が多く、適用判断に迷うケースもあります。しかしながら10年間と適用期間が長く、控除不足があったときは住民税から控除することができる納税者に有利な制度ですので、上手に有効活用しましょう。

When applying special credit for mortgage, there are many required documents than expected and various embarrassing cases to decide whether it could be applicable or not. Though, its use of duration is advantageously 10 years. And if all of it could not be deducted from income tax, the remain might be also deducted from residential tax.
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