税務におけるヒヤリハット/ケース別紹介

青色申告承認申請書や簡易課税制度選択不適用届出書などの提出漏れであったり、使える税額控除制度の適用を失念してしまう等、税務上のうっかりミスを起こしそうなポイントを取り上げます。

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消費税の事例

<ケース1>

簡易課税を選択している事業者が来期に設備投資計画があり、本則課税であれば来期は消費税の還付が受けられる場合

【対応策】

今期中に簡易課税選択不適用届出書を提出します。

 

<ケース2>

小規模事業者の免除の適用を受けている事業者が、来期に設備投資計画があり、本則課税であれば来期は消費税の還付が受けられる場合

【対応策】

今期中に課税事業者選択届出書を提出します。

 

<ケース3>

基準期間における課税売上高が1千万円以下である事業者の特定期間における課税売上高が1千万円であるが、給与等の支払額が1千万円以下である場合

【対応策】

課税売上高に代えて給与等支払額で判定すれば免税事業者となります(届出も申告も不要です)。

 

所得税の事例

<ケース4>

青色申告及び青色事業専従者給与の届出をしている事業主が、青色専従者の給与につき、届け出ている金額以上の昇給(増額)を行った場合

【対応策】

当期中に青色事業専従者給与変更届出書を提出します。

 

<ケース5>

居住用財産を譲渡した場合の3千万円の特別控除について、一定の同族会社への譲渡であるにもかかわらず適用してしまった場合。

【対応策】

居住用財産の譲渡については必ず、居住要件・所有要件・売り先・前2年における居住用財産の特例の適用の有無・本年度における住宅ローン控除の適用の有無などについてチェックシートを活用して確認をします。

 

<ケース6>

所得控除において、年少扶養親族は障害者控除はないものとしてしまった場合

【対応策】

16歳未満でも扶養親族に該当すれば障害者控除の適用はあります。また里子や養護受託老人でも合計所得金額が38万円以下であれば適用されます。但し事業専従者は除かれます。
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法人税の事例

<ケース7>

試験研究費の税額控除において、適用要件を満たしているにもかかわらず、計算ミスにより要件を満たしていないと思い込んでしまい申告を行わなかった場合

【対応策】

試験研究費の範囲(自社の原材料費、人件費、経費の他、委託試験研究費も含む)の検討や、総額型だけでなく増加型の確認をします。中小企業者等においては中小事業技術基盤強化税制に代えることができます。

 

<ケース8>

所得拡大促進税制の税額控除において、適用要件を満たしているにもかかわらず、計算ミスにより要件を満たしていないと思い込んでしまい申告を行わなかった場合

【対応策】

給与支給に係る要件(給与等支給総額が前事業年度以上等)や雇用者給与等支給総額の範囲(使用人兼務役員への給与等を除く)、継続雇用者の範囲(適用年度の新入社員等を除く)をしっかり把握しておくことが必要です。また、65歳以上の方も継続雇用者に対する給与等支給額の計算から除かれます。

 

<ケース9>

平成28年4月以降に取得した建物附属設備(配管のある冷暖房設備)について、定率法にて減価償却費を行ってしまった場合。また自社物件であるにもかかわらず償却資産税の申告対象としてしまった場合。

【対応策】

建物附属設備は、税制改正により定額法で減価償却を行うこととなっております。また配管のある冷暖房設備は、賃貸物件であれば償却資産税の対象となりますが、自社物件の場合は家屋扱いとなります。

 

事後処理方法

ここでは消費税において、届出を忘れてしまった後の対処方法をご紹介します。

<ケース10>

輸出業を開始したときや設備投資に係る消費税の還付

【対応策】

設備投資を実施する前に、課税事業者選択届出書や簡易課税制度選択不適用届出書と同時に課税期間特例選択・変更届出書を提出して課税期間を短縮します。

 

<ケース11>

基準期間における課税売上高は1千万以下であるが、特定期間の判定では納税義務が生じる場合

【対応策】

事業年度の変更によって、前事業年度を短期事業年度(前事業年度が7ヶ月以下の場合等)にします。

 

まとめ

うっかりミスは必ず付きまとうものですが、税金コストを下げる(過少申告の場合は延滞税等が発生します)為には、事業主と顧問税理士間において事前に検討を重ねる、チェックシートを活用する等により、無くさなければなりません。

その他注意事項としましては、ご紹介しましたケースのうち、所得拡大促進税制などについては、当初申告要件があることです。即ち修正申告により後から適用しようとしても適用することができません。とりあえず申告だけはしておくことも対処法となります。

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