リスニング問題で最もボリュームがあるのがPart3です。かつ新形式となってからは3人による会話問題やチャート問題が加わり、これらに対する準備も必要となりました。旧型式問題も含め傾向と対策を解説いたします。
Part3の概要
Part3は2人又は3人による会話形式の問題で、13題×3問で計39問の長丁場です。リスニングの勉強をしていると一瞬脳が眠ってしまい、英語が頭に入ってこない現象はありませんでしょうか。このPartは会話を聞き取るだけでなく、集中して聞き続けられる持続力が必要です。
|問題パターン
まずは会話を種類分けし、おおまかな特徴を述べますと、
(1)2人による会話(男性と女性)
(2)3人による会話(男性2名と女性1名もしくは男性1名と女性2名)
(3)やりとり(会話の往復)が多い会話
(4)話し手の意図を読み取る設問がある会話
(5)チャートを含む会話
がありますが、(2)(3)は従来の(1)と同じくそれぞれの話者の発言、会話のテーマ、流れを意識して聞き取ります。
(4)はその言葉の意味ではなく、話者の意図が問われています。ですのでその前までの会話の内容やその後の発言を把握する必要があります。
(5)は選択肢に登場する名称等をチャートに照らし、その名称等に関連する項目を意識して聞き取ります(例えばアイテムと金額が表示されたメニューで、選択肢が金額であればアイテムの方を注意して聞きます)。
会話についてですが、やはりビジネスシーンが鉄板です。社員同士(同僚や上司・部下など)による会話や、ビジネス側(店員など)とその利用者側(顧客など)による会話が多くを占めます。
テーマについては、前者は出張、昇進、採用、広告宣伝、セミナー、コピー機等機器関連、事務所の移転、合併、新商品販売、展示会、トラブル対応、仕事の依頼などが、後者は注文、返品、問い合わせ、チケット予約、キャンセル、修理やケータリングの依頼、アンケートなどがあります。
|設問パターン
設問についても、会社の業種、仕事内容、他部署への問い合わせ、改善提案や申し出、などビジネス関連が多いです。その他には、次にする行動、日時や場所、会話のテーマやメイントピック、問題点、依頼や要求の内容 といったものが挙げられます。
チャート問題は、複数の部屋から指定の部屋の選択、地図から指定の場所の選択、建物の案内からフロアの選択などがあります。その他にも、カタログ、グラフ、注文書、割引券、スケジュール表 などから指定されたアイテムを選択させる問題が散見されます。
Part3の対策
対策としましては、基本的にはリスニングや音読、オーバーラッピングを何度も繰り返したり、語彙の量を増やすことですが、1問ずつ学習するのに加えて複数問を聞くトレーニングにより脳に負荷をかけてスタミナをつけましょう。
聞くときは男性のセリフと女性のセリフを意識しましょう。設問を読んでどちらに関する問いかを確認し、どちらの話しであったか間違えないように気を付けます。また、会話の場面が頭の中に浮かぶようにすることも攻略の鍵となります。
さらにリーディングセクションと同様に早く正確に文章を読むことがこのPartには有効です。特に長い設問や選択肢になるほどリーディング能力は重要です。また言い換え問題がリスニングでもよく出ます。
もし十分に聞き取りができず、正解が不明な場合であっても不正解を3つ確実に選ぶことができれば得点することができます。その意味から設問と選択肢を研究することも大切かと思われます。
|実例検証
ここでは少し問題をピックアップしてみます。
女性)~ George is the head of Accounting, so let me call and ask him to ~
設問)What does the woman say she will do ?
A)Set up an appointment with client.
B)Contact a department manager.
C)Check her calendar.
D)Drop by the man’s office.
「女性の行動は」の問いに対して「ある部長と連絡をとる」と答えているBが正解です。「call」は「Contact」に「the head of Accounting」は「a department manager」に言い換えられています。他の選択肢を見ますと、クライアント、彼女の予定、立ち寄るという表現でそれぞれ不正解と判断できます。
男性)~ I came to Sydney for an old friend’s retirement celebration ~
設問)Why was the man in Sydney ?
A)To attend a business meeting
B)To do a sightseeing
C)To hold a workshop
D)To go to a party
「男性のシドニーに来た理由」の問いに対して「あるパーティーにいく」と答えているDが正解です。「retirement celebration」が「party」に言い換えられています。他の選択肢を見ますと、会議、観光、セミナーという表現でそれぞれ不正解と判断できます。
女性)~ Could you send me a resume and reference by next week ~
設問)What does the woman ask the man to do ?
A)Offer the man’s works
B)Come to office for interview
C)Provide some information
D)Sign an employment agreement
「女性の履歴書等を送ってほしい」という要求に対して「情報を提供する」と答えているCが正解です。典型的な具体から抽象への言い換えで「resume and reference」が「some information」になっています。他の選択肢を見ますと、作品、面接、雇用契約という表現でそれぞれ不正解と判断できます。
|チャート問題
新形式のチャート問題につきましても例を取り上げてみます。
まず4つの部屋から使われる部屋を選択する問題ですが、
リスニング内容が、next to the kitchen であればROOM1、first room on your left side after going up to stairs であればROOM3、across from the bathroom であればROOM4をそれぞれ指します。場所を示す表現は覚えておくと良いです。
続きましてメニューを選ぶ料金表の問題ですが、
リスニング内容が、budget of no more than $100 であれば Salad、we plan to pay over $250 but except for meat であればSeafood、you can choose the highest price menu within $ 250 であればChickenをそれぞれ指します。金額の範囲を示す表現も押さえておきましょう。
|留意事項
ここではリスニングにおけるその他の留意事項を箇条書きで記載いたします。
・but, though などの逆接の後に話者の言いたいことがある
・日にちや曜日は一度しか流れない
・話し手の会社や役職など帰属を意識する
・依頼の表現(Would you mindなど)を聞き逃さない
・申し出の表現(Do you want me toなど)を聞き逃さない
・固有名詞に惑わされない
本番での姿勢
試験が開始した直後にPart3とPart4のチャート及び問題内容(Look at the graphic. と書いてある設問)に目を通しておきます。Part2が終了したら1問目の3つの設問と可能であれば選択肢(Aだけでも構いません)に目を通して、リスニングに集中します。その時左手の指を3つの設問に置きます。
1問目のリスニングが全て終了または設問に関連する箇所までが終了したら、3つの設問を解き、左手の指3本で3題の答えを指し、右手で素早くマークをし、次の問題の3つの設問(可能であれば選択肢)に目を通します。チャート問題については右手でチャートを指さします。問題番号とマークシートの塗りつぶし間違いにも注意しましょう
問題内容からキーとなる単語が出るのを待ち受ける方法がありますが、曜日の指定などを除いてあまりお勧めできません。そのまま聞き取れる易問もありますが、言い換えがあったり、文脈から判断させる問題の方が多いからです。
まとめ(Conclusion)
Part3はご紹介しましたようにリーディングの技術も有効ですが、やはりリスニング内容をいかに聞き漏らさないかが重要です。設問からある程度の予測をしつつ、会話の場面や話者の意図を意識して聞きます。
またTOEICには固有名詞がたくさん出てきます。よくある名前や誰もが知っている地名以外のものも多く登場します。固有名詞を全て覚えることは不可能ですので、ある程度割り切って聞き流し、大事な文章を聞き漏らさないように気を付けましょう。
しかし、一部を聞き漏らしたとしても設問と選択肢次第で得点できる問題も割とありますので着実に得点してPart4に臨みましょう。