放送であったり会議内容の引用であったり、様々な形態により1人がトークを行うリスニング問題がPart4です。新形式となってからは、Part3と同様にほのめかし問題やチャート問題が加わっております。今回も旧型式問題とあわせて傾向と対策を解説いたします。
Part4の概要
Part4は10題×3問で計30問で、Part3と比べますとボリュームは少ないですが、最後のリスニング問題であり、スタミナがないと英語が脳が入ってきません。得点を稼ぐには問題の特徴を知る他、数をこなすトレーニングが必要です。
|問題パターン
まずは問題を種類分けし、その内容例を記載いたします。
(1)announcement(ツアー前の説明など)
(2)telephone message(予約のキャンセルなど)
(3)excerpt from a meeting(イベントの日時や会場など)
(4)radio broadcast(交通情報など)
(5)advertisement(自社製品の案内など)
代表的なものとして上記が挙げられますが、その他には recorded message(営業時間外の録音メッセージなど)や talk(社内における報告(セールスレポートや新システムの導入他)など)といったものがあります。
予めよく出るストーリーを知っておくことは、試験対策の一つとなります。そこで下記に例を示してみました。
story 1
シーズン到来で work volume(業務量)が増加し、これに対応するために extend operating hours(営業時間の延長)や extra shifts(超過勤務)が必要となり、希望者は supervisor(上司)に apply(申請)を行う。
story 2
事務所の relocation(移転)などにより、新規オフィスを選ぶこととなり、見学の set an appointment(アポイントを取る)為に real estate agency(不動産業者)にコンタクトをとり、available time(可能な時間)を return a call(折り返し連絡して)教えてほしい。
story 3
会社における yearly employee award(年間従業員賞)の ceremony(表彰式)において、受賞者の会社に対する dedication(献身)や tremendous contribution(素晴らしい貢献)として develop new line of products(新製品の開発)などが語られ、a warm round of applause(暖かい拍手)により迎えられる。
story 4
市の美術館の renovation(改修工事)が完了し、open to the public(一般公開日)及びイベントの schedule(予定)が述べられ、ゲストとして mayor(市長)が呼ばれて訪問客の前で、deliver an address(スピーチを行う)こととなる。
story 5
イベントのゲストに critically acclaimed author(有名著者)が呼ばれて、latest work(最新の作品)の紹介があり、その作成に関する experience(エピソード)が語られ、著者の出版本の購入者には、on a first come first served basis(先着何名まで)本人による autograph(直筆サイン)がもらえる。
このような定番を数多く知っておくことで、本番における心の余裕につながります。耳で聞くだけでなく、単語やフレーズも含めて覚えておきましょう。
|設問パターン
設問についてですが、トークの主題や目的などの他、日時・場所・職業であったり、依頼・提案・次の行動などPart3と近似するものも多いです。
新形式になって登場した、”What does the speaker imply when he says ~” などのほのめかし問題は、Part3と同様にその言葉の意味ではなく、その前までの会話の流れやその後の発言内容から話者の本音の部分を推測します。
チャート問題は、グラフによるシーズン別の売上、工場別の生産高、アンケートによる満足度などや、テーブルによるセミナーの講義内容、会議のタイムスケジュール、飛行機の出発時刻、料理のメニューなどが例として挙げられますが、基本的にはPart3と同じく選択肢の項目を足掛かりに答えを探すこととなります(選択肢の項目とは別の項目に注意して聞きます)。
Part4の対策
対策ですが、Part3と同じくリスニングだけでなくリーディングの能力を向上させることが有効です。聞き取りや読み上げのトレーニングはもちろんですが、設問及び選択肢を早く読むことも意識しましょう。それには数をこなすだけでなく、語彙の量、特にパラフレーズ(言い換え)をたくさん知っておくことが強力な武器となります。
Part4の話し手は1人ですが、設問は話し手(speaker)だけではなく聞き手(listener)や話中に登場する第三者が対象となることがあります。どちらの話しであったか混同をしないように注意が必要です。できる限り場面をイメージしながら聞きましょう。
正解が不明な場合ですが、やはりこのPartにおいても選択肢から不正解を3つを選んで残ったものをマークするという対処法が有効です。
|実例検証
ここでは少し問題をピックアップしてみます。
【excerpt from a meeting】
~ I’ve revised any agenda of meeting to be held next week, please look over it and let me know what you think ~
設問)What does the speaker ask the listeners to do ?
A)Review a revised company policy
B)Consult with a supervisor for board meeting
C)Provide feedback on changes to subject
D)Postpone upcoming press conference
「話し手が聞き手に求めていること」の問いに対して「議題の変更の感想を述べる」と答えているCが正解です。「要求」問題は、please+動詞の他にもそのまま命令形であったり、Could you ~、Would you mind 動詞+ing ~ といった丁寧な表現の他、ルール遵守などのケースで you have to ~、you must ~ の後に正解が述べられることがあります
【telephone message】
~ tickets of the play on Sunday is unavailable, but we can reserve the one on Tuesday next week if you’d like ~
設問)What does the speaker offer to do ?
A)Refund a payment
B)Contact another box office
C)Send a link for online purchase
D)Set aside a ticket
「話し手が聞き手に申し出ていること」の問いに対して「チケットをとっておく」と答えているDが正解です。「提案」問題は、we can ~ if you’d like の他にも Shall I ~ if you’re interested や I’m happy to ~ の表現で申し出たり、let’s ~ 、why don’t we ~ など呼びかけたりする表現もあります。また、I invite you to ~、we encourage you to ~などの推奨する表現も押さえておくべきです。
【radio broadcast】
~ We’ll hear the valuable story from Mr. Myers, the most famous local director, after traffic report ~
設問)What will listeners most likely hear next ?
A)Updated weather report
B)Traffic information
C)An interview
D)A talk about latest film
「次に聞き手は何を聞きますか」という問いに対して「交通情報」と答えているBが正解です。このような next 問題は、after ~ や following ~ の次に話される内容が正解となります。ちなみに A is followed by B は、Aが先でBが後になります。
なお、話し手の次の行動が問われているときは、中盤以降の発言における I’m going to~、I’m now ready to~、We’ll ~ などの後に正解のヒントがあります。
|チャート問題
Look at the graphic から始まるチャート問題につきましても例を取り上げてみます。まずは商品ごとの売上の対前月比を示すグラフですが、
リスニング内容が the lowest sales ratio について話しており、設問が Which item does the speaker says should be discussed among the sales department ? であれば Laptop を容易に選択することができますが、選択肢がロケーションの場合は難易度が急激に上がります。
例えば、A. Manchester B. Liverpool C. Leeds D. Birmingham であったとして、設問が Which location does the chart refer to ? の場合で、リスニング内容は次のようであったとします。
内容を確認しますと、Manchester と Liverpool は全ての商品が前月より売上が下がっているためグラフとの整合がとれず不正解です。Leeds は来月に再オープンするため今月の売上はなかったと予測されますので不正解です。そして Birmingham は、話者が smartphone が125%伸びたことに驚いており、グラフの数値と一致しますので正解となります。
続きましてセミナーのスケジュールが記載されたテーブルの問題ですが、
リスニング内容が I’d like to participant in the last seminar on June と話しており、設問が Which tile of workshops does the speaker will attend ? であれば Strategic Thinking が正解となります。
しかしながら、問題の出し方によって難易度は変わってきます。Alex が用事の為 Lee とスケジュールが入れ替わり、設問が the first seminar on June の問いで、選択肢から Title を選ぶのであれば Financing が正解となり、Eddy が病気の為、the date of ” Budget Management ” seminar has already been changed というアナウンスがあり、設問が開催日の変更が行われたセミナーの original date はいつかという問いであれば、June 10th が正解となります。
|留意事項
上記の各チャート問題の後半の解説で取り上げたような問題は、チャートと設問を読みながら聞いていたのでは、おそらく聞き逃す可能性が高くなるでしょう。上級者であれば、集中して聞き取ることもできますが、そうでない場合は割り切って3問のうち2問を確実にとるという意識を持つことも大切です。
全体的に言えることですが、1問にこだわりすぎてペースを乱すことがトータルの点数を下げてしまう要因ともなりかねません。
本番での姿勢
Part3でご紹介したように試験が開始した直後にチャート及び問題内容(Look at the graphic. と書いてある設問)に目を通しておきます。Part3が終了したら一旦深呼吸をして1問目の3つの設問と可能であれば選択肢に目を通して、リスニングに備えます。そして、Question 問題番号 through 問題番号 refer to the following ~ の ” ~ ” の部分を聞き取ります。これにより事前にある程度のイメージを持つことができます。
特に設問内容を確実に読むことでポイントを絞ることができます。日時や場所、役職や所属部署、会社の業種などは一度しか流れない可能性がありますので、必ず聞き取るようにします。また既に述べましたが speaker 、listener 、第三者いずれの問いかを確認しておくことが重要です。
後はリスニングを聞きながら、ああこういう話だなとイメージを膨らませて、設問及び選択肢とのすり合わせを行いましょう。
まとめ(Conclusion)
Part4は1人の話者に対して、複数人が問題の対象となりますので、より聞き取りや読み取りが大変かと思われます。従いましてできる限り多くのパターンの問題を解き、かつリーディングの技術を向上させることが重要です。
よほどの上級者でなければ、全てを完全に聞き取ることは困難ですので、イメージから予測をしたり、消去法で対処してできる限り失点を減らすことが肝要です。問題ごとのリスニングの時間間隔は決まっておりますので、最後までペースを守りリーディング問題に臨みましょう。